週刊大阪日日新聞

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2020/7/25

森友改ざん強制と訴え 近財職員自殺訴訟初弁論 

国と佐川氏、棄却求める


▲裁判を終えて裁判所の外で夫の遺影を掲げる赤木雅子さん

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却をめぐる公文書改ざん問題で、自殺した元近畿財務局職員赤木俊夫さん=当時(54)=の妻雅子さん(49)が国と当時財務省理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)元国税庁長官(62)に「自死したのは改ざんに加担させられたからだ」などと計約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が7月15日、大阪地裁(中尾彰裁判長)で開かれた。

妻「自死の真相を」

 国は答弁書で、改ざんは当時の理財局幹部が関与し近畿財務局幹部の判断で協力したことは認めたが、具体的な反論は追って書面で行うとした。佐川氏側は、「職務中に行った行為で他人に損害を与えた場合、賠償責任は国が負い、公務員個人は責任を負わないという判例が確立している」と主張。国と佐川氏側はいずれも請求棄却を求めた。


赤木俊夫さんの遺影(妻提供)

 雅子さんは初めて法廷の場に姿を見せて意見陳述し、「国は自死の真相が知りたいという私の思いを裏切り続けてきた。再調査を実施して、正直にすべて明らかにしてください。安倍昭恵さんも森友学園への国有地売却の関係を明らかにしてほしい。佐川さんをはじめ、理財局幹部、近畿財務局幹部の人たちも事実をありのままに話してほしい」などと訴えた。そして俊夫さんが遺書を残して自死したことについては「夫は私の雇い主は日本国民、国民のために働けることが幸せだと知人に話すほど、国家公務員という仕事に誇りを持っていました。そんな夫が決裁文書の書き換えという犯罪を強制されたのです。夫は死んでおわびすることにしたと思います。夫の残した手記は日本国民の皆さんに残した謝罪文だと思う」と胸中を述べた。雅子さんは今年3月、国などを提訴し、改ざんは当時理財局長だった佐川氏の指示だったとする夫の手記を公表した。

夫は死んでわびた 妻、国の消極姿勢批判

赤木雅子さんの法廷闘争が始まった

  7月15日朝7時36分、赤木雅子さん(49)からLINEが届いた。

 「今の心境。夫が改ざんをしてから3年余りの間。夫を亡くす地獄のように苦しい日々を経験しました。でも今はたくさんの人に出会い応援していただき、そして助けていただき私はとても強くなりました。今日がスタートです。堂々と裁判に臨みたいと思います」

 夫、赤木俊夫さんは、財務省近畿財務局の職員だった3年前、森友学園への国有地巨額値引きに関連する決裁文書の改ざんを上司に迫られ、反対しても押し切られた。改ざんを悔いてうつ病になり職場からの助けもないまま命を絶った。54歳だった。

 裁判2時間前の正午、大阪地裁近くの代理人弁護士の事務所を訪れた雅子さんに、弁護士は1枚の小さなカードを示して告げた。「このカード、裁判で証拠に出しましょう」

 国家公務員倫理カード。亡き俊夫さんが常にスケジュール帳に挟んでいた。内容を見て雅子さんはドンと胸を突かれる思いだった。

 ・国民全体の奉仕者であることを自覚し、公正に職務を執行していますか。

 ・職務や地位を私的利益のために用いていませんか。

 ・国民の疑惑や不信を招くような行為をしていませんか。


▲森友事件が発覚した2017年2月のメモ帳は深夜残業続き。26日には改ざんのための呼び出しの記載が

 「だって、みんながこの通りにしていたら夫は改ざんなんかしていないし、死ぬこともなかったはずじゃないですか」。カードがすり切れるほど肌身離さず、その言葉通り行動していた俊夫さんが改ざんを押しつけられ命を絶った。その不条理に胸が詰まった。

 午後2時、裁判が始まった。冒頭、雅子さんは中央の証言台に進み意見を述べた。「決裁文書を書き換えることは犯罪です。安倍首相、麻生大臣、私は真実が知りたいです。最期の夫の顔は絶望に満ちあふれ、泣いているように見えました」

 涙で声を詰まらせながら懸命に読み続ける。最後に「裁判官の皆さまにお願いがあります」と述べると、手元の書面に目を落としていた裁判長が真っすぐ雅子さんに目線を向けた。

 「ぜひとも夫が自ら命を絶った原因と経緯が明らかになるように訴訟を進めてください。よろしくお願い致します」

 裁判所を出た雅子さんに尋ねた。「きょうの意見陳述と記者会見、いかがでしたか」「言いたいことが言えたんで満足してます」「百点満点で点数を付けると何点くらい?」「そりゃあ百点ですよ。すっきりしました。でも疲れた。これから帰ってNHKのクローズアップ現代を見ます。一番長く取材してくれたんですごく楽しみです」

 にこやかに言い残して去っていった。次の裁判は10月14日。国や佐川氏がどう反論してくるのか注目だ。

 (大阪日日新聞編集局長・記者、相沢冬樹)

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