週刊大阪日日新聞

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2021/1/16

ニュースを違った角度から

「国債は借金? 貨幣発行?」

 政府の来年度の一般会計予算案。「金額は106兆円で過去最大。コロナ禍で税収が伸び悩み、国の借金である国債を43兆円発行してまかなう」とあります。これで「国と地方の長期債務残高は1209兆円となり、財政健全化が遠のく」とのことです。

 つまり、来年は106兆円を使うけれど、収入(税金など)が63兆円しか見込めないから足りない43兆円を借金しますよ。これで借金総額は1209兆円に増え、収入の範囲内で支出するという目標にはほど遠い、と言うことでしょう。このようなニュースを見ると心配になりますよね。加えて借金総額が「国民一人当たり900万円」と示されれば、「増税されても仕方が無い」と思ってしまいます。

赤字は誰かの黒字

 そこで読者に一つの視点として「国債は借金では無い」という考え方を紹介します。

 少し説明が長くなりますが、わかりやすく説明してみます。そもそもお金は物ではありません。100万円の車を買えば、購入者自身は100万円を失いますが、その100万円は世の中から消えるわけでなく、車屋にお金が移動するだけです。300円のたこ焼きも同じで、食べるとなくなりますが、300円は店のレジに入ります。

 つまり、お金は常に貸借関係で成り立ち、誰かの赤字は必ず、誰かの黒字になります。

 では、経済をもっと大きく捉えてみましょう。私たちの経済活動を「民間」という一つのまとまりで見た場合、もう1人の主役は「政府」です。お金は貸借関係なので、国債であっても政府が支出すれば、民間の黒字は増えることになります。

 よく耳にするのが「政府の借金が、家計の金融資産を上回ると破綻」という話です。しかし、政府が国債を発行してお金を使えば、そのお金は民間の金融資産に移動するので、このロジック(論理)は成り立ちません。

 この貸借関係を基本に考えると、逆に政府が黒字を目指し、増税したり支出を減らしたりするとどうなるでしょう。そうです。民間は赤字になります。

 それでも国債残高がどんどん増えるとなんだか心配です。しかし、こんな見方ができます。現在、国債は市中の銀行を迂(う)回して日本銀行が買い取っています。その日銀の大株主は政府で、日銀はいわば子会社です。つまり、子会社が親会社に400兆円を貸している状態で、父子それぞれの帳簿上には貸し借りの記録がありますが、家庭を一つのグループにすると借金は相殺されゼロになります。

 とすると…「国債は借金ではないのでは?」という疑問が浮かびます。確かに政府は予算上は国債を返済し、利払いもしています。しかし、償還期限の来た国債は借り換えられるので、ある意味返さなくてよい状況も成り立ちます。このため、「実は国債は借金ではなく貨幣の発行」と説明する人もいます。

極端は問題

 「ならば、どんどんお金を発行すればいい」という極論もありますが、世の中の供給力を大きく上回るお金が使われれば当然インフレを招きます。例えば年に20棟しか供給余力のない住宅会社に、1000棟の依頼が殺到すれば、すぐに価格は2倍3倍に値上がりします。だから、極端なお金発行は問題がありそうです。そう考えると、構造上「いくら借りているのか」は問題にならず、インフレ率にだけ注意して政府は財政出動を行えばよいことになります。

 国家財政と家計は、そもそも仕組みが異なり、「同じはず」と思い込んでいると、こうした視点は見えてきません。それに「いくらでもお金が発行できる」なんて、なんだか怪しく感じてしまいますよね。

量子力学に似た感覚

 この感覚はまるで、実験事実をなかなか受け入れられない量子力学のようです。

 人体も空気も世の中の物は素粒子の組み合わせです。光の粒子である光子もそうです。この素粒子の動きを捉える「二重スリット実験」がありますが、この結果を、ほとんどの人は理解できません。

 どんな実験かを簡単に説明します。2本のスリット穴を空けた紙に砂を吹きかけ、穴を通り抜けた砂が向こうの壁にどんな形でくっつくかを観察します。ご想像の通り、砂は抜けた穴と同じ形で壁にくっつきます。ところが、素粒子である光をスリット穴に当てるとどうなるでしょう?

 壁に2本の光の線が投影される…のではなく、実は何本もの線が浮かび上がるのです。

 「なぜそうなるか」はここで説明しませんが、「膨らむ国債残高」も、主流の「財政破綻」の意見の一方、「ただの貨幣発行」というもう一つの意見があります。

 これからの時代、何が正しいのかを自分自身で見極めることが必要かも知れません。

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