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2021/4/10

PCR検査の真実 医師・松下正幸氏にインタビュー

日本人のコロナ死、本当は少ない?

 新型コロナ再拡大の報道に、不安を抱える読者が多い中、大阪市福島区の松下医院の松下正幸院長は「事実を超えるエビデンスはない」と日本人のコロナ死が少ないことを主張している。医療側から見て、この感染拡大はどう映っているのか。松下院長に「PCR検査の真実」についてインタビューした。

陽性者をコロナ死≠ナカウントする現実


まつした まさゆき 松下医院、院長。昭和56年に神戸大学医学部卒業。国立循環器病センター、動脈硬化・代謝内科研究生、神戸大学医学部、第二内科医員。ブリティッシュ・コロンビア州立大学医学部(カナダ)、臨床病理研究員、六甲アイランド病院、内科医長など務めた。
─現状をどうみていますか。

 今、コロナに関しては感染症学、免疫学、分子生物学等専門の先生によっても見方が2分しています。危険な感染症だと警鐘を鳴らしている先生と、逆に風邪の延長線上にある感染症だと言っている先生がいます。マスコミはどちらかと言うと大変だというのが主流になっています。海外ではコロナでたくさんの人が亡くなっていますが、日本では幸いそんなに亡くなっていない。日本だけではなく東アジアに住む人間は、欧米のように何十万人亡くなることは今のところはない。

 コロナウイルスが発生して1年以上経っていますが、実質的に日本人の死亡率は少ない。私は「事実を超えるエビデンスはない」と思っています。

─国内で死亡者が増えていますが。

 死亡者数を考えるときに絶対に知っておくべきことがあります。昨年6月、厚生労働省は全国に通達を出しました。PCR検査で陽性の人が亡くなった時には死因を問わずコロナ陽性者死亡と報告し対処せよと。ガンで亡くなっても検査で陽性ならコロナ死としてカウントされ、二重のビニール袋に入れられて斎場行きになります。陽性と告げられた方の自殺もコロナ死としてカウントされています。

 コロナ禍の前年、2019年は1年間で138万1098人が亡くなりました。日本の人口が1億2千600万人で死亡率は1・09%。90人に1人が1年に亡くなっています。団塊の世代≠ェ高齢化し、死亡者数・死亡率は年々上がっています。それでは死因はどうかというと、悪性腫瘍(がん)で亡くなる人が19年は37万8千人で1日1036人。誤嚥(ごえん)性肺炎を含めた肺炎で13万2500人、1日363人です。その人たちが入院時に陽性反応が出たらコロナ死とカウントされます。感染力が強いウイルスになるほど、亡くなられる方が陽性になる確率は増え、当然コロナ死とカウントされる方は増えていきます。

 超高齢化社会の日本では死者数増加は必然のはずでしたが、20年の死亡者数は19年より9373人減りました。1月から9月までの肺炎での死亡者数も前年同期比で1万4000人も減少しています。コロナ禍において日本では年間死亡者数が減っているのです。厚労省や大阪府のホームぺージでは、コロナ死とは発表しておらず、単に死亡者数と書いています。新型コロナ感染症がどれほどの死亡率なのかを検証していくためには、新型コロナ感染症で亡くなった人だけをカウントし直さないといけません。

 でもその前にもっと大事なことがあります。確実に診断することです。新型コロナ騒動が起きてから1年以上経ちますが、いまだに診断はPCR検査一辺倒で、明確な診断基準がありません。感染症とは「病原体が体内に侵入して増殖し、宿主に不都合な症状を起こす事」と定義されています。細菌やウイルスが口の中にあっても何の症状も無く元気に生活していたらそれは感染症とは呼びません。

感度千倍の検査では、偽陽性の割合も増える


▲報道公開された新型コロナウイルスのモニタリング検査のデモンストレーション=3月5日、大阪市淀川区(代表撮影)
─PCR検査とはどういう検査ですか。

 分子生物学の分野で使われる一定の領域の遺伝子を増幅して増やす手法です。新型コロナウイルスはエンベロープと言う脂肪の膜から皆さんご存知のトゲトゲが出ている球体のウイルスです。その中に約3万個の塩基が並んだ1本鎖のRNAが入っています。

 今回の新型コロナのPCR検査では、3万個並んだ塩基配列の中で新型コロナウイルスに特徴的だと思われる部位のおよそ70〜80個の塩基配列を増幅してチェックしているにすぎず、決してウイルス全体を増幅しているのではありません。増幅回数をCt値と呼びますが、WHOはCt値30〜35までに反応が出たものを陽性と判断していますが、日本は40〜45でCt値が10違います。2の30乗は10億倍、2の40乗は1兆倍です。感度を千倍上げています。感度を上げれば関係のないものも拾い上げてしまい偽陽性の割合が当然増えます。

 厚労省もCDC(アメリカ疾病予防管理センター)もPCR検査陽性者がイコール感染者ではないと言っていますが、マスコミは短絡的に感染者と報道しているのです。PCR検査は人間の細胞に感染したウイルスを見ているわけではありません。今は唾液で検査をしますが、唾液の中に新型コロナウイルスの遺伝子配列の一部とよく似た遺伝子断片を見つけましたということに過ぎないのです。

─大阪でも陽性者が増えて「まん延防止等重点措置」が適用され、時短営業やマスク会食の要請が始まりました。

 欧州では昨年から幾度となくロックダウンが行われていますが、解除のたびに陽性者が増えています。日本もロックダウンほど厳しくはないですが緊急事態宣言が出され、解除されると一旦減った陽性者が再び増加してきました。新型コロナのPCR検査陽性者は増加するのにインフルエンザや他の感染症は激減しています。マスク・手洗いそしてロックダウンや緊急事態宣言という作戦は新型コロナ感染症には有効でないように思われます。

 考えられる可能性は二つ。一つ目は新型コロナウイルスの感染経路がインフルエンザ等と全く異なる可能性。二つ目はPCR検査が新型コロナウイルスと全く関係ない遺伝子断片を捉えている可能性。私は症状の全くないCt値の高いPCR検査陽性者は新型コロナウイルスに感染していない偽陽性者だと思います。

─日本で新型コロナ感染症の重症者や死者が少ない要因を京都大学の山中教授は「ファクターX」と名付けられましたが、それは存在するのでしょうか。

 日本だけでなく韓国、台湾、そして新型コロナを世界に送り出した中国でさえ死者数は欧米諸国に比べて格段に少ないです。昔からアジアは結核が多いのでBCG接種を義務化している国が多いのです。しかも生ワクチンで実施している国がほとんどです。生ワクチンでのBCG接種が感染症に対する訓練免疫を高めている可能性があります。東アジアの人間は以前からあった鼻風邪のコロナウイルスを頻回に罹っていたので、今回の新型コロナウイルスに対しても交差免疫を持っていた可能性です。

 最近イギリスから面白い論文が出ました。日本人は年間5〜6回かぜを引きますが、その30〜40%がライノウイルス、15%ほどがコロナウイルスです。この論文ではヒトの呼吸器系細胞にライノウイルスと新型コロナウイルスを同時感染させたところ、48時間以内に新型コロナウイルスが検出できなくなりました。ライノウイルスが自然免疫反応を誘発し一時的に新型コロナウイルスの複製を阻止したのでしょう。感染症の原因となる病原体には地域特性があるので、日本は新型コロナウイルスには強かったのかもしれません。

 米国から出た論文ではインフルエンザワクチン接種者は新型コロナウイルス感染症の検査で陽性となる確率が低いそうです。日本では毎年1000万人がインフルエンザのワクチンを接種しているのでこれも重症化予防に寄与している可能性もあります。

─今後府民はどう対応すればいいのでしょうか。

 全く症状のない人がマスクを付けることが感染拡大防止に寄与するかどうかは意見の分かれ る所ですが、車内や屋内に入る時にはエチケットとしてマスクは着用しましょう。手洗いも頻回にした方がいいと思います。外出先で5分に1回うがいをすることなど不可能なので、口腔内に入ってきたウイルスを洗い流す目的でのうがいは無駄だと思います。

 ここまでは感染しないための作戦ですが、感染しても重症化しないように免疫力を落とさない作戦が一番重要です。早く寝て十分な睡眠をとる。一日10分ほどでいいので外出し紫外線を浴びて歩く。一日中家に引きこもっていてはストレスも溜まるしビタミンDも産生されません。ビタミンDは免疫反応において重要な物質です。肥満、糖尿病、呼吸器疾患は重症化因子と言われていますので、タバコをやめて、食事運動療法で減量し血糖値も良好にコントロールしましょう。

─最後にひとことを。

 人間はゼロリスクで生きていくことは出来ません。梅田を歩いていても人が降ってくることもあります。感染リスクをゼロにしようとすると誰にも会わず一生涯自宅で生活することになります。それでもリスクゼロではないでしょう。一度きりしかない人生を新型コロナウイルスに罹らないことを目的に生きて何が楽しいのでしょうか?

 自宅に籠っていてもガンになることはあります。「よかった。新型コロナでなくガンで死ねて本望だわ」と言えるのなら一生軟禁生活をしていたらいいでしょう。私は嫌ですが。

 今回のコロナ禍を人生の目的を考えるいい機会にしていただき、自分にできる新型コロナ対策はしっかりしたうえで、人生を楽しんでください。

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