週刊大阪日日新聞

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2021/5/15

混迷する現代と共鳴 漫画「進撃の巨人」完結

絶望と無力、香港も重なる

 人気漫画「進撃の巨人」(講談社)の連載が4月に完結した。容赦なく人を食らう謎の巨人を巡る過酷な戦いを、壮大なスケールで表現。争いを避けられない人類の宿命や絶望感を巧みに描く作品は混迷する現代社会と共鳴し、国内外の読者を結末までくぎ付けにした。

時代と並走

 諫山創さん(34)作で、単行本累計発行部数は世界で1億部超(電子版含む)。最終話を載せた「別冊少年マガジン5月号」が発売された4月9日には、「残酷だけど本当に美しい物語」などとインターネット上がファンの熱い言葉で沸いた。

 リーマン・ショック後の2009年から連載。既存の価値観が揺らぐ時代と並走した。批評家杉田俊介さん(46)は「徹底的に政治を描いた漫画。ざらついたこの10年の社会の空気を、これほど生々しく取り込んだ少年漫画はない」と評する。

 主人公は、巨人から身を守る強固な壁の中で育った少年エレン。巨人に壁を壊され、母親を食われた怒りと絶望から、兵士となって自由を求めて戦い続ける。その姿は「政治腐敗にあらがう革命権、抵抗権を表している」。時に正義≠暴走させるエレンと、対話を求める仲間らの政治思想の対立も面白く見せた。

 民族差別などリアルなテーマにも触れる。「敵は本当に敵か。エレンは正しいのか。読者は最終話まで決定不能な状況に置かれた」。この「宙づり」の感覚に現実味があったと杉田さん。「情報があふれ、人々が真実や正義を疑い、不信感を募らせる。進撃は、そんな居心地の悪さがつきまとう現代社会と共鳴した」

壁は破られた

 人気は海外でも。特に香港では、14年の民主化デモ「雨傘運動」を先導した黄之鋒さん(24)や周庭さん(24)らが愛読者だと公言。デモに絡み服役中の黄さんは、周囲に「くれぐれもネタバレしないでね、(獄中から)出てきた時に結末を見たい」と話したという。

 「香港の10年代の不安定な状況が連載時期と同調した」と振り返るのは、香港出身で日本のサブカルチャーを研究する張イクマン立命館大准教授(43)。かつては壁≠フ中で安定と繁栄を享受していた香港。「でも壁≠ヘ破られた。巨人≠ノ侵入されてしまった」

 対話は解決の手段にならず、残酷な現実を受け入れるしかないと強調する同作。巨大な暴力を前にした人々の無力さの描写に、中国に抑圧される香港市民を重ねた。「進撃が表現するのは言葉の無力と偽善への反発だ」

 世界を巻き込み、破滅的な道を突き進むエレンに張さんは共感する。想起したのは19年のデモで掲げられた合言葉「攬炒(ラムチャオ=死なばもろとも)」だ。「自分が巻き込まれない限り、世界は私たちの状況を分かってくれない」

 サブカルチャー史に名を刻む異形≠フ大ヒット作の単行本最終34巻は6月9日に刊行される。

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