週刊大阪日日新聞

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2022/7/23

一日千秋 天神祭


▲お披露目の引き回しを終えて堂々宮入しただんじり=6月24日、大阪市北区の大阪天満宮

 日本三大祭りの一つ天神祭が、新型コロナウイルス禍の中、3度目の夏を迎える。大川を舞台にした船渡御(とぎょ)や、水都の夜空を鮮やかに染める奉納花火が中止となる一方で、陸渡御は3年ぶりに復活する。さまざまな厄災を乗り越えてきた1000年余にわたる祭りの歴史。関係者の創意工夫は積み重なり、完全復活≠ヨ。歩みは着実に進み、そして祭りはつむがれる。

だんじり 170年ぶりに復元新調

時代を超えたつながりを次の時代へ


▲勇壮華麗な音色とともに天神橋筋商店街のアーケード内を進むだんじり=6月24日、大阪市北区

 天神祭を彩る地車講のだんじりがこのほど、170年ぶりに復元新調された。6月24日にはお披露目の新調奉告祭が執り行われ、大阪天満宮まで曳き回しを行った。街は新しいだんじりとともに、おはやし、竜踊りなどで華やかに活気づいた。

 大阪天満宮のだんじりは天神祭の陸渡御で使用される。大きな特徴は屋根の構造。「三ツ屋根」と呼ばれる三つの屋根が山形に構成されている。大阪府内各地にある「二ツ屋根」のだんじりと大きく異なる、唯一のものとなっている。

 同宮の記録によると、先代のだんじりは1850(嘉永3)年につくられたもの。だんじりは祭りの盛り上がりとともに各町ごとに競い合うように所有されていた。江戸時代、最大で84両があったとされている。その中でも「三ツ屋根」のものは珍しく、2、3両だった。

 96(明治29)年、天神祭のだんじりはこの1両のみとなった。町衆は大阪でも珍しい貴重な品として同宮に奉納した。その後、祭りの象徴として多くの人に愛され、大切に保存されてきた。

 しかし、長い年月の中で損傷も増え、数年前から天満市場地車講をはじめとした地域から新調を望む声が少しずつ聞こえてきた。2019年、天皇即位の記念事業として新調することとなった。

 そこで決めたのが、先代をそのままつくる「復元新調」。岸和田市のだんじり専門の工務店に依頼し、一つ一つ部品を外して型紙を起こした。ケヤキを中心にヒノキ、コクタンなど最上質の木材にかたどっていった。困難だったのが「三ツ屋根」の部分。複雑な構造だったが、丁寧な仕事を積み重ねて復元した。

 作業は21年2月に始まり、22年6月に終了。費用は同講をはじめとした地域の人たちの浄財でまかなわれた。24日の新調奉告祭後、同宮に奉納され、3年ぶりに行われる陸渡御をもり上げる。

 同宮の禰宜(ねぎ)、柳野等総務部長は「先代もそうだが、だんじりは人と人との時代を超えた目に見えないつながり。次の200年先の人ともつながることができるか、とても楽しみなこと」と笑顔で話した。


陸渡御復活

感染症対策で参加者制限


▲参道前でにぎやかに連なる陸渡御御列(過去の様子)

 大阪の市街地を歴史絵巻へと変貌させる天神祭の陸渡御は25日、3年ぶりに執り行われる。例年通り、大阪天満宮(大阪市北区)の表門を出発し、(もよおし)太鼓を先頭に、伝統衣装を身に着けた大行列が、天神橋周辺までの約3キロを練り歩く。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2年間の中断があったが、今回は通常の形で実施する。陸渡御の始まりを告げる催太鼓が先陣を切り、おはやしとともに勇壮に進む地車(じぐるま)などが後に続く。さらに、菅原道真公の御神霊が移された御鳳輦(ごほうれん)が厳かに歩みを進める。

 行程も例年通り。大阪天満宮を出発し、大鳥居を抜けると、老松通りを西進する。大阪のメインストリート・御堂筋から国指定重要文化財の大阪市中央公会堂前を巡行。中之島からなにわ橋を渡り、天神橋のたもとで終える。

 一方、感染防止の観点から各講社に呼びかけて参加者を限定。約3千人から半数の約1500人で行う予定となっている。


いつか船渡御再現を


▲奉賛会などが参列する中で執り行われた行宮祭(過去の様子)

大阪天満宮の御旅所 千代崎行宮

 大阪市西区千代崎の一角にたたずむ大阪天満宮の御旅所「行宮(あんぐう)」。天神祭のかつての渡御の目的地として知られ、祭りの時季になるとまちの随所に鮮やかなのぼり旗が掲げられる。

 船渡御は戦後間もない1949年に復活。しかし地盤沈下に伴い橋げたが下がり、渡御船の航行が困難となったため、4年後の53年以降は大川をさかのぼる現在の姿となっている。

 行宮では天神祭の宵宮(24日)・本宮(25日)には行宮祭が執り行われるほか、月例の月次祭などもある。ここをしっかりと守っているのが地域住民でつくる「千代崎奉賛会」(島田輝子会長)だ。行宮の清掃や梅の木の世話などにも汗を流す。地域主体の「千代崎天神祭」(24日)では、コロナ禍で自粛していた子どもみこしが3年ぶりに繰り出すなど、明るいきざしも見えてきた。


▲のぼり旗がはためき「天神祭」の準備が整った行宮=大阪市西区千代崎

 「地域が天神さんの行宮をお守りしているという誇りをもってご奉仕している。いつか千代崎への船渡御が再現されたら」と笑顔で語る島田会長。「これからも、より多くの人に千代崎行宮のことを知っていただきたい」と思いを込める。


来年は夜空に大輪を

奉納花火で大阪を元気に


▲夜空と川面を華やかに照らす奉納花火(2019年の様子)

 天神祭本宮の船渡御が繰り広げられる大川の夜空と川面を華麗に彩る奉納花火。今年も新型コロナウイルスの収束が見通せず、来場者の感染を防ぐのが難しいことから3年連続で中止という苦渋の決断となった。

 花火打ち上げを担当する水都祭・天神祭奉納花火実行委は「3年続けての中止は残念だが、感染拡大予防策として当然の決断。来年こそは無数の大輪で天神祭のクライマックスを華々しく照らしたい」と期待を込める。

 水都祭の花火大会は、戦時中、大小約50回におよぶ空襲で荒廃した水都・大阪の復興を祈念し、終戦からほぼ1年後の1946年8月17日に中之島一帯で開催。翌日の大阪日日新聞には「焼夷(しょうい)弾よりキレイ」─の見出しが躍った。

 以後、打ち上げ会場は淀川河畔などへ移った後、2002年から「天神祭奉納花火」として都心を流れる大川で実施。16年にはレーザー光を駆使した演出もスタートし、メッセージや協賛企業名を鮮明な光線で描いて来場者を魅了している。

 同実行委メンバーは、2025日本国際博覧会(大阪・関西万博)の開催が迫る中、「大阪を元気に!」の合言葉を胸に来年の開催を目指し、結束をさらに固めている。


伝統の継続に意気込み

神童の大役務める脇本君


▲神童を務める脇本君(前列左から3人目)


▲昨年の鉾流神事の様子

 今年の天神祭で奉仕する「神童」ら四役6人が6月25日に任命された。この日、大阪天満宮で行われた装束賜式(しょうぞくたばりしき)では祭りの装束に身を包んだ四役が本殿に参拝し、神前で奉仕を誓った。

 神童に選ばれたのは、西天満小学校6年の脇本寛太君(11)。神童は例年、地元の子どもから選ばれ、地域とともに伝統を継承し守り続ける。

 神童が主役となるの が「鉾流(ほこながし)神事」。神事は951年に始まったとされ、鉾を流し、流れ着いた場所を神様の巡行の場所と定めた故事にちなむ。現在は場所を決める神事ではなくなったが、祭りに向けて「神意を伺う」観点から斎行している。

 装束賜式や自宅をはらい清める「自宅清祓(きよはらい)式」に出席し、大役に挑む脇本君は牛や豚といった四つ足の獣の肉やねぎ、ニンニクを食べないようにしながら、入浴を欠かさず心と体を清めた状態で当日に備える。脇本君は「最初で最後なので、本番までしっかり約束事を守って頑張る」と意気込む。

 その他の所役は猿田彦に川北哲也さん(50)、随身に柳野真音さん(21)と川村耕毅さん(16)、牛曳(うしひき)童児(女)は西原瑠之輔君(10)と西原茉璃さん(10)が務める。


平和の願い込め

歌人・高田ほのかさんが3首


高田ほのかさん

 歌人の高田ほのかさんが、今夏の天神祭に寄せて3首詠んだ。大阪天満宮の石鳥居、絵馬、お守りに目を向け、平和の願いを込めている。

「石鳥居をくぐりし少女は振りかえり一礼をする日傘とじつつ」
 (平和、疫病退散への願いを、少女の一連の所作に込めた)

「頼れない夢に今年も賭けること絵馬を揺らすは道真公か」
 (自分の願う力などわずかだろう。それでも、賭けたい。賭けずにはおれない…。絵馬が揺れる。道真公が願いを聞き届けてくれたのか)

「打ち上がることなき空を待つ胸に夏越御守のふっくらと白」
 (天神祭奉納花火大会が開催されない3年目の夏が来る。寄る辺ない気持ちで大阪天満宮の授与所に行くと、色とりどりの古代色のお守りが並ぶ中、白くてふっくらした「夏越御守」を認め、心の安寧を得る)

たかだ・ほのか 大阪府出身、在住。関西学院大文学部卒。テレビ大阪放送番組審議会委員。2019年まで10年続いた天神祭献詠短歌大賞の実行委員長を務めた。現在は関西の社長にインタビューし、経営の原点を短歌にする「100人100首」の歌集作りを進めている。


祈りを胸に()の輪くぐり

天神祭月間は七夕祭から


▲ヨシを束ねて茅の輪を作る神職ら

 天神祭の開幕を告げるのが、天満天神七夕祭。境内では参拝者らが「()の輪」をくぐり、家内安全や恋愛成就を祈願。本宮の25日まで続く「天神祭月間」がスタートした。

 天神祭月間は、室町時代には天神祭を七夕の日に行った記録があることを踏まえ、7日から25日までの19日間、祭りを盛り上げようと関係者らが打ち出している。

 今年は神職とともに天神祭で清掃に従事するボランティア団体「ダストバスターズ」も琵琶湖で、茅の輪の材料となるヨシの刈り取り作業に取り組んだ。

 七夕の神事に参列した講社連合会会長で天神講獅子講元の森本幸一さん(72)は「感染症、熱中症対策を徹底し、日本三大祭りの名に恥じない、良い祭りにしたい」と話していた。


御迎人形展示

大阪シティ信金 29日まで


▲ロビーに展示される「御迎人形」(大阪シティ信用金庫提供)

 大阪シティ信用金庫は29日まで、大阪市中央区の本店営業部ロビーで天神祭の時期に合わせて「御迎人形」の展示を行っている。

 御迎人形は、かつて船渡御を迎えるために出した船に乗せられ、豪華絢爛(けんらん)の衣装を着た姿が評判を呼んだ。大阪天満宮から借りた高さ10cm程度のレプリカがロビーに並び、大阪の夏の風物詩「天神祭」を盛り上げる一方で、疫病退散の願いも込めた。

 ロビーには「安倍保名」「羽柴秀吉」「雀踊」「三番叟」「鎮西八郎」「胡蝶舞」「与勘平」「真田幸村」「豆蔵」「猩々」「坂田金時」「関羽」「鬼若丸」「八幡太郎義家」「木津勘助」「素盞嗚尊」の16体が並ぶ。

 今年は3年ぶりに陸渡御が復活するなど明るい兆しはあるものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響で船渡御や奉納花火は中止となった。同金庫では新型コロナ禍の終息を願いつつ、大阪の伝統を継承し守り続けていく。

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